2023年日本シリーズ第2戦において、阪神岡田監督が1回裏のオリックスの攻撃で、森選手が放った一塁線の打球のフェア、ファウルの判定について、主審と塁審の判定が異なった状況に対して抗議する場面がありました。
この記事では、フェア、ファウルの判定が分かれた場合の対応を野球規則がどう定義しているのか。そして、過去に同じようなケースで話題になった事例につて解説します。
【2023日本シリーズ】第2戦阪神岡田監督の抗議は?
2023年日本シリーズ第2戦で阪神岡田監督が抗議した件が話題になっています。
【阪神】岡田監督抗議!オリックス森友哉一塁線の打球はファウル 「3-6-3」ゲッツー幻に…(日刊スポーツ)#Yahooニュースhttps://t.co/jmB9bVuYmR
— 極トラ・プレミアム(日刊スポーツ) (@NikkanNaruohama) October 29, 2023
抗議の発端となったプレーは?
日本シリーズ第2戦、初回1死一塁の場面で、オリックス森選手の打球は一塁ベース付近へ飛びました。この打球を捕球し大山選手が二塁転送。さらに一塁へ返され併殺が完成したように見えた。ただ、そのプレーに対して、福家一塁塁審はファウルを宣告。1度は市川球審がフェア判定していたため、審判団がグラウンド上に集まり協議し、その後、責任審判から「協議した結果、ファウルとして再開いたします」と説明の説明がありました。
野球規則ではどうなっている?
2人の審判が異なる判定を下した場合の処置については、規則9.04(c)に述べられています。
「一つのプレイに対して、2人以上の審判員が裁定を下し、しかもその裁定が食い違っていた場合には、球審は審判員を集めて協議し(監督、プレーヤーをまじえず、審判員だけで)、その結果、通常球審(または、このような場合には球審に代わって解決に当たるようリーグ会長から選任された審判員)が、最適な位置から見たのはどの審判員であったか、またどの審判員の裁定が正しかったかなどを参酌して、どの裁定をとるかを決定する」
この規則によれば、今回の審判団の対応は適切だったと言えます。
日本シリーズという大きな舞台で、審判も緊張感のある状況で、冷静な対応は難しいと思いますが、適切に審判団を集め。協議した結果であり、評価に値すると思われます。
【2023日本シリーズ】第2戦阪神岡田監督の抗議と類似する過去の事例は?
2006年6月1日の横浜対ソフトバンク戦において類似する事例がありました。
9回裏一死一塁で、横浜の多村仁志選手の三塁線の打球について、三塁塁審はファウルの判定をしたため。多村選手は走るのをやめましたが、球審はフェアと判定していました。
この場合、規則にあるとおり、審判団が協議すればよかったのですが、球審は「球審の方がよく見える場所にいたので、自分のジャッジを優先させました。完全なフェアです」と答えました。球審は「連続プレーですので話し合うことはできない。自分のジャッジも確実なものであるから、話し合う必要はない」と答えていました。
セ・リーグは後日、「協議しなかった球審の判断は遺憾で強く反省を促した」との見解を発表しました。異なる判定が下されたときは、審判団で話し合う必要があることが再認識されました。
まとめ
2023年日本シリーズ第2戦で阪神岡田監督が抗議した件について、過去の事例を含めて解説しました。
フェア、ファウルの判定は、フェアであれば、長打コースとなり、試合の流れを変えることにもなるため、重要な判定となります。
過去には、審判が適切な対応をせず、問題となる事例もありましたが、今回は、審判団が適切な対応をしたと言えます。
1つのプレーが試合展開を大きく左右する判定に対して、審判団も人間なので、誤審をする場合もあります。選手たちの活躍はももちろんですが、大舞台を担当する審判団にも敬意を払いながら日本シリーズを楽しみましょう!